累々たる無責任の体系


現在91歳の作家・大西巨人の小説【神聖喜劇】を取り上げた
NHKのテレビ番組はとても興味深いものでした。
作家自身の軍隊体験を基に陸軍内部の理不尽さを初年兵の目から痛烈に
あぶり出した作品で漫画にもなり、若い人にも人気があるようです。




まず軍隊というところは全てが規則で定めら、それに疑問を持つことすら許されません。
この中で、主人公の初年兵が軍隊に入ったばかりで何も知らされていない
集合に遅れてしまいます。
遅れたことを叱責された主人公は上官に対して
「自分はこのことを知りませんでした」…と正直にいうが
上官は「軍隊に知りませんはない!忘れていましただ!言い直せ!」と言われるが
主人公は知らされていないのだから、忘れたは無いと思うのですが…





これはどういう事なのか?主人公が得た結論はこうです。
「忘れました」と言えば本人の責任で終るが
「知らされていない」となれば上官の責任になる。
即ち上の者が下の者に責任を取らない、逆に言えば下の者が常に責任をたらされる
体系が「忘れました」だというのです。
【累々たる無責任の体系】が陸軍であり…そして今の時代も。
 



この小説に魅せられたという俳優の西島秀俊大西巨人宅を訪ねます。
ドラマや映画制作の現場にいて西島は「ソレはやってはいけない」「ソレは止めときましょう」と
表現がどんどん出来なくなっていると大西に訴えます。
大西は西島に「今、言っている事を考えることが有意義で、自主規制が進むと
人間はそんな事も考えなくなってしまう」
そして大西は「今の空気は満州事変の時代によく似ている」というのです。




私は満州事変の頃の空気は知りませんが、
大西や西島が感じる息苦しい空気があることにはとても同調します。
閉塞感の中で思考停止をさせて
【累々たる無責任の体系】が構築され、
どこに向かおうというのでしょうか。



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