生保は掛け捨てにして”投資”を!?


「お金に働かせる」という話は…
私の専門分野である生命保険にまで及んでくるのです。



預貯金などが無くても、
生命保険を安い掛け捨てにして、その余った資金を
投資に当てれば良いという意見です。



?と思う記事が、またまた…
先々回のブログ【 「お金に働かせる」って?】でも取り上げた
日経新聞の連載特集【日本人とおカネ】の3月3日朝刊に掲載
されていました。



経済評論家の勝間和代氏のコメントから始まります。
この方は大変に立派なキャリアをお持ちの美人ですので
最近はマスコミでも本屋さんでもよく見かけるようになりました。
「お金に働かせましょう」と発言しているひとりです(^_^;)



ことわっておきますが私はココで彼女を中傷しようとなどとは
思っていません、ただ彼女とはまったく違う立場で
生命保険の現場を長年みつめてきた者として発言しなければと
思っているのです。



詳しい内容は日経の記事をお読み頂ければと思いますが
私なりの要約をさせて頂ければ
現在39歳の彼女は22歳の時に生命保険(終身保険)に加入。
それが保険会社の破綻で”保障額”が3分の1にまで減ってしまい解約し
保険のリスクやコストに気付かされた…
といったような事から始まります。




勝間氏が生命保険に加入したのは17年前、
すなわちバブルがピークに達して崩壊する頃で
予定利率が4.75%(現在は1.65%)もある
生保会社の不良債権、契約者にとっては”お宝保険”と呼ばれるものです。



どこの生命保険会社に加入していたかは判りませんが
生保破綻が続いたのは97年から4年間です。
すなわち勝間氏が保険契約をして6年から10年後で
勝間氏が28歳から32歳の頃という事になります。
彼女は19歳で当時最年少で公認会計士補を取得
大学でファイナンスMBA、卒業後はアンダーセン、マッキンゼー、モルガンという
そうそうたる国際的金融会社でキャリアをつんだ金融のプロですから、
自分が大金?を投じて加入している終身保険が破綻するまで
まったく判らなかったかったというのもヘンな話です。



ま〜言い方を変えれば、そこまでの金融のプロでも判らないほど
ワケの判らない世界だった、と言われば私も納得してしまいますが(^_^;)
>破綻で”保障額”が3分の1に減ってしまい解約した…
と言うことを、このような記事の中で短く書き捨てると
なんだか終身保険がとてもリスキーな保険商品のように思われ
勝間氏が薦める「保険は掛け捨てにして…」というロジックに誘導される
ように私は感じるのです。



17年前22歳の勝間氏が加入した終身保険は、
今ではとても考えられないほど
とても、とても、安い保険料で”大きな保障”をしている保険だったのです。



22歳の女性が例えば1000万円の終身保険に加入したとすれば
保険会社は平均寿命の60年後までには1000万円の責任準備金を
積立てなければならないわけですが、高い予定利率であれば
60年後の1000万円は安い保険料で楽々準備出来るのです。



しかし、この”予定利率”は高金利時代のとんでもない判断誤りで
この安い保険料のまま保険が継続され保険金を支払う事に
なったら生命保険会社は大変な打撃を受けてしまいます。
そこで”破綻”してしまった保険会社の契約に関してだけは
予定利率の引き下げをした(そうしなければ破綻会社の契約を引き継ぐ
ところが無い)のです。
それでも、今の終身保険よりずっと予定利率が高い、すなわち保険料が
安いのです。



勝間氏はこの保険を解約したと書いていますが、
加入して10年足らずの超長期の保険で、払った保険料と解約返戻金の
バランスから見たら、破綻するしないに、それほどの影響はないはずです。
すなわち勝間氏の保険の資産性という観点からは
すり返られた理論をしているように私には思えるのです。

             
                                  ●続く



人気blogランキングへ



このブログは少子高齢化・自己責任時代に向けて保険がその社会的責任を果たせるよう
そして、こらからのライフ・スタイルに適応した納得できる保険撰びが出来るよう
Dr.KENの熱い思いを込めたもので、特定の団体や商品を中傷するものではありません。